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第2話

田舎での最初の夜

母親の「こんだけ?」という言葉が、車の中で何度も反響した。返答が定まっていなかったのは、自分でもまだ確信を持てていなかったからだ。

実家に着いてから1時間。母は引っ越し業者の来ない可能性に気づいたのか、俺の荷物を前にため息をついていた。一方、父親は「身軽でいいじゃないか」と笑っただけだった。その温度差が、この判断の揺らぎを象徴していた。

夜になって、用意されていた部屋に荷物を広げた。キャリーバッグとバックパックの中身をベッドの上に並べると、本当に少ない。シャツ5枚、ズボン2本、下着と靴下。ノートパソコン。それだけで数秒で配置が終わる。

窓の外は真っ暗だ。街灯もなく、月の光だけが田んぼを薄く照らしている。東京のアパートから見えていた、隣のビルの光と広告塔の輝きが懐かしい。いや、懐かしいというより、まだ昨日のような気がしている。

ノートパソコンを開き、明日から始まる仕事の資料を確認した。新しい会社、新しい業務内容。メールボックスには、人事部からのウェルカムメッセージが届いていた。それを読む自分は、まだこの部屋に馴染んでいない。

枕に頭を沈める。天井は東京の部屋と違って、古びた感じだ。でも悪くはない。むしろ、何もない状態で新しい環境と向き合うことに、奇妙な清々しさを感じている。

ただし、朝になったら何が起きるのか。この選択がどう転ぶのか。まだ分からない。

続きはまもなく

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