第4話
第4話 選択肢の重み
インターンシップの応募書類を仕上げるのに、3日かかった。
朝5分のノートには毎日、「志望動機を詰める」と書かれた。5分では終わらない作業を、あえて朝に書き出すことが、今の俺のやり方になっていた。朝に書くと、その日1日を通して、無意識のうちに頭の片隅で考え続けるのだ。講義中も、昼食時も、夜寝る前も。
4日目の朝、俺は完成した志望動機を読み返していた。自分が何をしたいのか、この企業で何が学べるのか。嘘ではない言葉が、ようやく並んでいた。
応募ボタンを押す瞬間、手が止まった。
これまでの俺なら、ここで先延ばしにしていただろう。「もう一度見直してから」「明日でいいか」とループして、結局応募しないまま期限を過ぎる。その繰り返しだった。
だが今、俺は違う選択ができた。それが不思議だった。
朝5分は、俺の行動を変えたわけではない。選択肢を見える化しただけなのだ。先延ばしするか、今やるか。その二者択一が、毎朝、毎朝、突きつけられている。逃げ場がない。
ボタンを押した。
応募完了のメッセージが表示される。胸がざわついた。緊張というより、達成感に近い。やり切った感覚。
桜子には、応募したことを報告しなかった。まだ早い気がした。面接に呼ばれるまで、このざわざわした気持ちを抱えておこうと思った。
翌朝、コーヒーを飲みながらノートを開く。いつもの朝5分。
ペンを握る手は少し震えていた。今日何をするか、改めて問い直すタイミングが来ていた。朝5分は、継続するものではなく、毎日新しく選び直すものなのかもしれない。
ノートの新しいページに、今日のリストを書き始めた。
続きはまもなく
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