第3話
第3話 朝5分の先にあるもの
2週間を過ぎた頃、俺は朝5分の使い方を変えていた。
コーヒーを飲む時間は同じ。でも、その傍らにノートを置くようになった。最初は「今日やることリスト」を走り書きするだけ。5分じゃ全部は書けないから、本当に大事なことだけ。講義の予習、提出期限の近いレポート、友人との約束。
何度も何度も同じページに書き直していると、自分が何を先延ばしにしてるのか、なぜ後回しにしてるのか、ぼんやり見えてくる気がした。
3週間目のある朝、俺は思いがけず、志望していた企業のインターンシップ募集を見つけた。応募期限は1週間。去年だったら、見つけても「そのうち」で終わってただろう。朝5分のノートに「インターン応募」と書いた瞬間、妙にリアルに感じた。
夕方、桜子に相談してみた。履歴書の書き方とか、志望動機の作り方とか。
「寝坊してた君が、自分から動くなんて」と桜子は言った。笑ってるのか、驚いてるのか、区別がつかない口ぶりだった。
「朝5分だからな」と俺は答えた。
本当は、もっと複雑だと思ってる。朝5分は、ただのきっかけに過ぎない。そこから何が生まれるか、どう続けるか、それは自分次第だ。
でも、きっかけがあるのとないのとは、大違いなんだろう。
寝坊を繰り返してた時の俺には、朝も昼も夜も区別がなかった。全部、ダラダラした時間だった。今は違う。朝が特別になった。たった5分だけど、その5分が、1日全体に色をつけてる気がする。
応募書類の締め切りまで、あと5日。朝のノートに、毎日何を書こうか。そういうことを考えるのが、今は少し楽しかった。
続きはまもなく
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