第7話
第7話 ボールの先にあるもの
シュートは枠を外れた。だが、誰もそのことに落ち込まなかった。
後半も半ばを過ぎた頃、スコアボードの数字はまだ自分たちが追う立場のままだった。しかし、コート上の力学は確実に変わっていた。相手チームの動きが、それまでの余裕から、いくぶん硬さを取り戻し始めているのが感じられる。
田中がボールを奪った。素早いパスが自分に渡る。前のめりになって走り込もうとした瞬間、相手のディフェンダーが身体を寄せてきた。避ける必要があった。右足で軽くタッチして、相手の重心をかわす。その動きは、十分に意図的だった。
自分たちは、もう単にボールを蹴っているだけではないのだ。
コートの限られたスペースの中で、相手がどこに来るのかを読み、その一瞬先の隙間を使う。そうした試行錯誤の積み重ねが、ここ数分間で何度も繰り返されていた。最初のゲームのように、ボールを追うだけの自分たちではない。相手も、もう警戒を緩められない相手として、自分たちを見ている。
シュートのモーションに入ったとき、相手のゴールキーパーが既に腰を落とし始めていた。予測だ。その予測に対して、自分は決して最適な判断をしたわけではないかもしれない。だが、その予測そのものが、相手にこのチームを認識させたことの証だった。
ボールが枠の上を越えた。
田中が顔を上げて、自分を見た。その表情には、落胆ではなく、確かな手応えが宿っていた。同じことを感じている。これは、単なる素人チームの勝敗ではなく、何かを学びながら、ゲームという形式の中で自分たちが変わっていく過程なのだと。
タイムアウト。相手チームも、何かを仕掛ける必要を感じたのだろう。コートの端で、相手の指示者が選手たちに何かを告げている。同じように、自分たちのチームも円を作った。
田中が言った。「もう一度、同じ場所を狙ってみよう」
その言葉の中には、失敗への言及ではなく、次への提案があった。ゲームはまだ続いている。ここからが、本当の意味での挑戦なのだと。
続きはまもなく
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