第7話
第7話 「ノートの余白に」
三ヶ月目に入った時、私のノートに変化が起こりました。
毎日の「明日も描く」という記録は、いつしか短い言葉だけになっていました。「描く」「休む」「迷った」。そして時々、何も書かない日もある。
そんなある朝、前のページをめくり返していると、最初の方に書き込んだ絵を見つけました。今の自分なら、あの線の引き方は違うかもしれない。色の選び方も。でも、その時の私はそこに至るしかなかったのだと、初めて納得できた気がしました。
田中さんに「進歩を感じますか」と聞かれました。いつもと違う問い方だったので、少し戸惑いました。技術的な上達なら、微々たるものです。でも「何か」は確実に変わっていると答えました。
「何か、ですね」と彼女は笑った。「それが一番大切な気がします。言語化できない変化を、ちゃんと感じ取れるようになったということですから」
その言葉をきっかけに、私は周囲に目を向けるようになりました。同じく創作を続けている仲間たちの変化に気づく余裕が、ようやく生まれたのです。
完璧さを求めずに続けるということは、自分の内側を見守ることだけではなく、他者の歩みにも柔らかく目を向けることなのかもしれません。
四ヶ月目を控えた今夜。ノートに何を書くか、まだ決めていません。決まっていないまま、ペンを握っています。その不確かさが、もう怖くない。
続きはまもなく
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