朝練の時間

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第7話

第7話 リズムの共鳴

充足感だった。

二つの呼吸が同じリズムで運動場を満たす。自分と、背後の誰かと。意識的に合わせたのではなく、気付いた時には既に揃っていた。長く続けるものは、やがて似てくるのかもしれない。呼吸も、ペースも、この場所への向き合い方も。

十四周目。太陽の端が地平線から顔を出し始める。朝焼けが濃くなり、運動場の隅々まで淡い光が届くようになった。あと数分で、いつもの日常が戻ってくる。他の学生が、部活動の人間たちが、この静寂を破りに来る。

だが今は、その到来が遠く感じられた。

背後の足音が、ほんの少し近づいた。距離が縮まったわけではない。ただ、その存在の輪郭がはっきりとなり、自分たちが同じ場所にいることの実感が増した。昨日は一人の朝練に、誰かが加わった形だった。今朝は違う。初めから二人で走っているような感覚さえある。

十五周目。背後から、ほんのわずかな音がした。咳ではなく、呼吸の乱れでもない。何かを言いかけて、飲み込んだような音。短く、慎重に。

自分は走り続けた。ペースは変わらない。顔も向けない。だが、その音が何を意味するのか、無意識のうちに考え始めていた。もしかして、背後の誰かも、何かを伝えたいと思っているのではないか。この二人きりの時間が、もう少し続くことを望んでいるのではないか。

東の空が一層明るくなる。もう来るはずだ。足音の音が、複数になるはずだ。だが、その時が来る前に、自分は一つのことに気付いた。

この朝練の時間は、もう自分一人のものではなくなっていた。そして、その事実が、決して悪いものではないということに。

続きはまもなく

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