第3話
第3話 「小さな約束」
「今週のチャレンジ」というスレッドで、メンバーたちが自分の目標を宣言し始めていた。
「毎日100字以上」「週に3枚」「とにかく手を動かす」。画面に流れる投稿を眺めながら、佐藤は思った。みんな同じように悩んでいるのに、それでも何かを続けようとしている。
「あ、この人いいなあ」と美咲が身を乗り出した。スクリーンショットを指差す。"ゼロ文字の日があってもいい。大事なのは、その翌日に戻ってくることだ"という投稿だった。
「完璧を目指さないってことですね」
「そう。でも、それってすごく難しくないですか?」美咲の表情は複雑だった。「頭ではわかってるのに、ゼロ文字の日が怖い。そこから戻ってこられなくなるんじゃないかって」
佐藤も同じ恐怖を知っていた。一日書かないと、二日目はもっと書きづらくなる。その感覚は、ここにいる誰もが経験しているのだろう。
「一緒にやってみませんか」と美咲が提案した。「毎日、何か一つだけ。私はスケッチ一枚。あなたは一段落でもいいから。それをサロンに報告する。やり続ける理由を作る、というか」
佐藤は迷わなかった。
「やります。明日から」
ふたりはスマートフォンを取り出し、互いのサロン上のプロフィールをフォローした。小さな約束が、スクリーン越しに成立した。
カフェの外では、夕方の光が街を柔らかく照らしていた。明日からの創作に向けて、佐藤の心はすでに次の日へと向かい始めていた。
続きはまもなく
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