オートメーションの境界線

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第2話

判断の重さ

翌朝、佐藤はそのログを印刷して会議室に向かった。

「ここを見てください」と、スクリーンに資料を映す。前夜に見つけた対応事例だ。顧客は商品の返品を希望していたが、その背景には契約内容の誤認識があった。AIエージェントは返品ルーチンを提案し、事務的には正しく処理された。しかし実際には、顧客の真の問題は別のところにあったのだ。

「結果としてクレームにはなりませんでした。ただ、その顧客はその後、問い合わせをしていません」と佐藤は続ける。

デジタル推進室の田中は、データを確認しながら答える。「効率の観点からは、業務完了です。システムは指示通りに動いています」

「そうなんです。だからこそ問題なんだ」と佐藤。「われわれが自動化の対象にしているのは、実は単なるタスクではなく、顧客との関係性そのものではないでしょうか」

会議室に静寂が落ちる。営業担当の鈴木が口を開く。「つまり、効率と満足度は必ずしも一致しないと」

「正確には、短期的には一致しているように見えるかもしれません。でも長期的には、顧客は『対応されたこと』よりも『理解されたかどうか』を記憶している気がします」

この言葉の重みを、その場にいた誰もが感じた。ただし、それをどう組織の方針に反映させるのか、その道筋はまだ見えていない。

田中が慎重に問う。「では、どこまでを自動化の対象にして、どこからは人間に任せるべきだと考えていますか」

佐藤は答えるつもりで口を開きかけたが、実は自分もまだその線引きを確実には掴んでいないことに気づく。

「それを一緒に考えるために、もう少し現場のデータを集めてみませんか」

続きはまもなく

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