第7話
試行錯誤の先に
検索窓に打ち込んだのは『睡眠の質 照度』という言葉だった。
寝室の暗さについて考えることは、これまでなかった。カーテンは閉めているし、スマートフォンも遠ざけている。それで十分だと思い込んでいた。しかし、隣人の規則正しい生活音から目を向けられたことで、自分の環境を改めて見つめ直す余裕が生まれていた。
記事を読み進めると、光の質だけでなく、寝る前の時間の使い方も書かれていた。自分がこれまで実践していた工夫は、そのほんの一部だったのだ。完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ積み重ねていく。その過程の中で、新しい視点が次々と見えてくる。
土曜の午前中、ホームセンターに足を運んだ。遮光性の高いカーテンを眺め、何度も手に取って戻した。これ一つで劇的に変わるわけではないだろう。だが、それでも選択することに意味があるのだと感じた。最終的に、濃い紺色のカーテンを買った。
取り付けながら、ふと気づいた。自分は何かに『解決してもらう』のを待つのではなく、『試してみる』という行為そのものに向き合い始めていたのだ。
夜明け前の真っ暗な寝室で横たわると、これまでと異なる感覚があった。壁の向こうの隣人の生活音も、今は聞こえない。あるいは自分の意識がそこまで届いていないのか。いずれにせよ、今この瞬間、自分は自分の条件の中にいる。
月曜日の朝、目覚まし時計が鳴る前に目が覚めた。四日連続。その事実よりも、次は何を試してみようかという問いが、自分の中に明確に存在していることが新鮮だった。
続きはまもなく
目次