画面の向こうの距離感

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第4話

画面の向こうの距離感 第4話 重ねられた視点

そのメッセージを何度も読み返した。「一緒に見てくれてありがとう」という言葉が、なぜこんなに響くのか。同じ時間に同じ画面を見ていた見知らぬ誰かが、自分の存在を認識していてくれたということか。それとも、単に同じ推しを好きな者同士の、定型化された礼儀に過ぎないのか。

翌日、その人のプロフィールを訪れた。推し活に関する投稿ばかりだった。配信ライブの感想、推しの新しい曲についての考察、グッズの写真。画面の向こうにいるのは、自分と同じように日々を推し活で構成している人間だ。その認識が、少し戸惑いをもたらした。

図書館で友人に、そのことを話した。友人は黙って聞いていたが、やがて「でも、その人のこと、本当には知らないよね」と言った。その通りだ。文字と投稿された画像だけで、自分は誰かを認識している。推しのことも、同じように。

スマホの通知欄に、また新しいメッセージが届いた。推しの公式アカウントからの自動メッセージではなく、あの人からのメッセージだ。「今度の配信ライブ、また一緒に見ませんか」と。

返信するべきか、迷った。返信すれば、その関係はより具体性を帯びていく。だが同時に、何かが変わってしまうような気もした。

夜、推しの最新投稿を見た。「次のライブが楽しみです。皆さんと画面で会いましょう」という言葉。その「皆さん」の中に、自分も含まれているのか。あの人も含まれているのか。それとも、その言葉は、誰にも属さない平等な光のようなものなのか。

スマホの画面が、急に距離を感じさせた。ここはどこなのか。自分はここで何をしているのか。推し活という名前の、見えない繋がりの中で。

続きはまもなく

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