第1話
第一話 なぜ続かないのか
自炊を始めると誰もが最初は意気込むものだ。新しいレシピ本を買ったり、調理器具を揃えたり、そうした準備段階では実に楽しい。しかし現実はそう甘くない。多くの人が数週間で挫折するという統計を目にしたことがある。
なぜだろう。私自身も何度も失敗してきた。疲れた日は外食に逃げ、気付けば自炊の習慣は消えていた。その度に「意思が弱い」と自分を責めていた。だが、それは間違いだったのかもしれない。
行動心理学の研究によると、人間の意思決定能力は有限で、一日を通じて徐々に低下していくという。つまり、疲れている時に「自炊するか、外食するか」という判断を迫られれば、脳は簡単な方を選ぶ。それは弱さではなく、生理的な現象なのだ。
同様に、新しい習慣の定着には時間がかかる。脳が新しいルーチンを自動化するまでには、少なくとも数週間から数ヶ月を要すると聞いたことがある。最初の無意識の努力が必要な期間を乗り越えることができれば、自炊は次第に「やらなければ気になる」という状態へ移行していくらしい。
そこで考えるのだ。自炊を続けるには、単なる意思の問題ではなく、仕組みづくりが重要なのではないか。疲れた時でも続けられる、シンプルで実現可能な方法があるはずだ。
私はそのヒントを探ることにした。
続きはまもなく
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