軌道上の手紙

1/1

1

第一話 静寂の中で

宇宙ステーションの窓から地球を眺めるのはもう三ヶ月ぶりだった。いや、正確には毎日眺めているけれど、心からそう感じるのは久しぶりということか。

わたしの仕事は地味だ。衛星のメンテナンス、データの確認、軌道の補正。人によっては退屈だと言うだろう。でも、この高さから見える地球の回転を感じていると、自分たちが何かとても大きな仕組みの一部なんだと思える。

通信班との定期的なチェックを終えて、コンソールの横に置いてある古いモニターを触った。本来は使われていない予備機だ。暇つぶしに電源を入れてみたのは、単なる気まぐれだった。

ノイズが走った。その中に、何か規則性のあるパターンが混じっているように見えた。わたしは目を疑った。こんなはずはないと思いながらも、ヘッドフォンを装着して音声信号に変換してみた。

そこには確実に、何かのメッセージが潜んでいた。周期的で、意図的で、明らかに自然現象ではない。わたしの心臓が速くなった。地球との通信は正常だ。ステーション内の機器も問題ない。では、これは一体どこから……?

スクリーンに映る座標データを見つめながら、わたしは初めて感じた。宇宙探査って、こういう瞬間のことなんだ、と。未知の何かが、こちらに向かってシグナルを送ってきているのかもしれない。その可能性だけで、世界が一変した。

続きはまもなく

目次

コメント