第1話
第一話 段ボール箱の山
引っ越し業者が去ったあと、部屋には段ボール箱が積み重なっていた。6畳間に23個。数えていて途中で嫌になった。
「ちょっと多くない?」友人のしおりがスマホを見ながら呟いた。彼女は前に持ち物を半分に減らしたらしく、いつも身軽そうだ。
「だって全部必要なんだよ。冬物とか、本とか、使うかもって思ったら…」
「『かもしれない』の呪いだ」しおりは笑った。「まず箱を全部開けずに、今週必要なものだけ出してみたら?」
そういうもんかな、と思いながら指示に従った。結果、出したのは箱12個分の荷物だけ。残りの11個は開けられたまま積み重なっている。
見守るしおりが、今度は冷蔵庫の上を指差した。「ここ活用してる?」
「特に…」
「だよね。使わない箱、たたんで詰めとけば、実質そこが新しい収納になるよ」
なるほど。こういう視点があるんだ。6畳間って広いな、と思い始めた矢先、しおりはさらに付け加えた。
「あ、でもね。モノを減らすのは意外と簡単。難しいのは、その後でモノを増やさないことなんだ。ここからが本番」
そっか。引っ越してきたばかりなのに、もう次のハードルが見える。でも悪くない感じがした。
続きはまもなく
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