第2話
ページの向こうから【第2話】 誰かの問いかけ
その夜、優衣は前の所有者が使っていたノートをそのまま活用することにした。新しいページを開いて、今読んでいる本に向き合う。
いつもなら、ストーリーをざっと追うだけで終わってしまう。だけど、古本屋で見かけた書き込みを思い出すと、違う読み方ができるような気がした。
登場人物が何か決断する場面。優衣は鉛筆を握って、ノートに思いついたことを書いてみた。
「ここで、この人は本当は別の選択肢もあったんじゃないか。なのに、なぜこっちを選んだんだろう」
自分の言葉で疑問を形にしてみると、本の世界が少し近くなった気がする。続きが気になるのはいつもと同じだけど、その理由が変わったような感覚がある。
ページをめくる手が止まった。ノートの別のページに、前の所有者の走り書きがあった。同じような場面についての書き込みだ。優衣は文字を追った。その人も、同じように迷ったのかもしれない。
本を読んでいるはずなのに、いつの間にか、誰かの思考回路の中を歩いているような気分になっていた。
でも—ここからが、優衣の不安は始まる。このノート、本当に自分のものにしていいのだろうか。前の所有者の思いが詰まっているのに、上から自分の考えを重ねていく。なんかそれって、失礼な気もする。
優衣は一度、ペンを置いた。
続きはまもなく
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