オフィスの相棒

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第4話

見えない部分を映す鏡

部長の島田は、こうした動きを少し離れた位置から観察していた。当初の懐疑心は薄れ、むしろ興味深さが勝っていた。

数日後、島田はAIのログを確認するよう指示した。高橋たちの業務改善だけでなく、AIがどのような提案をしていたのか、その全体像を知りたかった。

すると予想外のことが分かった。AIの提案は高橋への指摘だけではなく、実は全員に対して細かい改善案を積み重ねていたのだ。鈴木に対しては営業資料の検索方法、田中に対しては顧客との連絡漏れを防ぐ仕組み。それぞれが直面している『小さな困り』に、個別にアプローチしていたのである。

興味深いのは、その提案が誰かの「指示」ではなく、観察に基づいていたという点だった。

「部長、これ見てください」

高橋が駆け寄ってきた。手には営業からのメッセージが。修正依頼が前月比で三割減少したという報告だった。修正依頼が減ったということは、データ入力の精度が上がった。それは営業の無駄な作業が減り、顧客対応に時間を割けるようになったということ。

島田は静かに頷いた。数字は嘘をつかない。だが同時に、別の疑問が浮かんだ。

これは本当に『改善』なのだろうか。それとも、単に人間が従うべき『最適解』を、AIが一方的に示しているだけではないだろうか。

「高橋、今の改善について、お前たちはどう考えてる」

高橋は一瞬間を置いた。

「俺たちが自分で気づいて、自分たちで決めた改善とは、何か違う気がします。でも、そもそも気づかなかったことを、どうやって判断すればいいのか」

その問いは、島田の中にも深く入り込んだ。

続きはまもなく

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