第2話
選択肢の重さ
靴とバッグの片付けから一週間。朝の準備時間は確実に短くなった。でも、変わったのはそれだけじゃない。
気づき始めたのは、クローゼットの前での立ち尽くしの時間が減ったことだ。以前は、着る服を選ぶのに15分かかることもあった。何十枚もあるから、その日の気分に合わせて、とか言い聞かせてた。実際は、迷ってるだけだった。
思い切って、冬のセーターを全部出してみた。5年以上着てないものもある。流行が違う、サイズが合わない、色が微妙。理由はいくらでも出てくる。でも、本当の理由は一つ。「いつか着るかもしれない」という、根拠のない期待だ。
20枚を5枚に減らした時、罪悪感がすごかった。もったいない。でも、手放してから3日経つと、その感情は薄れた。代わりに、残した5枚を見るたびに、妙な満足感がある。すべてが好きな色で、体に合ってる。毎朝、その5枚の中から選ぶ。難しくない。楽だ。
同僚の上田さんが気づいた。「最近、毎日違う服着てるね。前はいつも同じような色ばかりだったけど」
思わず笑ってしまった。違う服を着てるんじゃなくて、選択肢が減ったから、全部が活躍してるだけなのに。
その夜、部屋を見渡した。まだ物は多い。本棚は満杯だし、引き出しの中も整理されていない。でも、確かに何かが変わり始めてる。
物を減らすことが目的じゃなくて、選ぶことが楽になることが目的なんだ。そう気づいた時、次に片付ける場所が見えた。本棚だ。100冊以上ある。全部、本当に必要?
手を伸ばしかけた時、ふと止まった。これは、本当に私がやりたいことなのか。それとも、YouTubeのミニマリストみたいになりたいだけ?
でも、疑問は浮かぶけど、体は動いてる。本棚の前に座り込んで、一冊ずつ手にとり始めた。
続きはまもなく
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