第1話
第一話 きっかけは冷蔵庫の前で
朝の忙しい時間に、私は無意識に朝食をかき込んでいた。別に何を食べたのか覚えていない。夜も、仕事から帰ってきて適当に済ませる。ある日、友人が「食事記録つけてみたら体調変わった」と言うのを聞いて、なんとなく試してみることにした。
まず躓いたのは、毎食写真を撮ることの煩雑さだ。ご飯をよそって、スマホを取り出して、角度を考えて……なんて面倒くさい。三日で挫折するかと思った。
でも、ある時点で気づいたんだ。別に完璧に記録する必要なんてないんじゃないか、って。朝は忙しいから写真だけ。昼は会社の食堂だから、メニュー名だけ。夜は気が向いたときだけ詳しく。そのくらいのゆるさでいいんだと思ったら、不思議と続くようになった。
数週間もすると、自分がどんなタイミングで何を食べたくなるのか、なんとなく見えてくる。疲れた日は無性にこってりしたものが欲しい。午後三時に甘いものが欲しくなるのは、だいたい朝食が軽かった時だ。そういう小さなパターンに気づくのって、意外と面白い。
完璧に記録することが目的じゃなくて、自分を知るきっかけとしての記録。そう考えたら、気楽に続けられている。今日も冷蔵庫の前で、昨日の記録を振り返りながら、今日は何を食べようか考える。こんなシンプルなことが、なぜだか日々をちょっと豊かにしてくれる感じがする。
続きはまもなく
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