締切と私のカウントダウン

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第1話

第一話 金曜日の絶望

また金曜日だ。

美咲は机の前で頭を抱えた。月曜に「今週中に頼む」と言われた資料、まだ手をつけていない。締切は今日中。あと8時間。

同期の健太は涼しい顔で帰支度をしている。「俺は昨日の時点で終わらせてたから」とか言いながら。いつもそう。なぜか彼は締切に余裕を持ってこなす。本人曰く「特に努力してない」らしいが、ほんと意味不明だ。

美咲のやり方は決まっている。締切ギリギリまで気合で乗り切る。徹夜もたまにある。高校の受験勉強もそれで乗り切ったし、大学のレポートだってそう。なぜなら、締切まで時間があると、つい別のことをしてしまうから。時間があれば逆にペースが落ちる気がする。

だから圧力が必要。緊張感が必要。それこそが自分のエンジン。そう思ってた。

でも最近、疲れた。単純に、疲れた。毎週末が戦場。毎月が修羅場。こんなペースで三年続けてる。体は平気でも、なんか心がすり減ってる気がする。

スマホをぼんやり眺めていたら、先輩の田中からLINEが来た。「お疲れ。手帳、使ってみて」

手帳?

さっき帰りがけに、田中先輩がくれたやつだ。高級そうな皮のやつ。「キャリアの見え方が変わる」とか言ってた。正直、手帳で何が変わるんだと思ったけど、今の状況、何か変えないと危ない気がした。

ページをめくってみる。タスク管理のページがある。普通の手帳とは違う構成。「今週中」じゃなくて「いつまで」「どのくらい」「なぜそこまで」と書く欄がある。

「なぜそこまで」? なぞなぞか。

でも試しに、今の資料作業を書き込んでみた。締切:今日の18時。かかる時間:予想3時間。なぜ:営業戦略の基礎データになる。顧客提案に使う。来月の売上に関わる。

そしたら、なんか見え方が変わった。ただの「やらなきゃいけない仕事」じゃなくて、なんか意味が出てきた。

あ、これ、締切を「逃げるもの」から「向き合うもの」に変えるってことか。

美咲は立ち上がった。まだ8時間ある。十分だ。

続きはまもなく

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