第2話
二つ目の箱、迷いの色
翌日、仕事から帰ると部屋に段ボール箱が三つ積まれていた。昨夜塞いだ箱の隣に、新しい箱が用意されている。誰が置いたわけでもなく、自分で買ってきたのだが、その存在がなぜか重く感じられた。
一つ目の箱は迷わなかった。本は本、服は服、カテゴリーで分けるのは簡単だった。でも詰めながら気づいたことがある。本の中に、手紙が挟まっていたのだ。友人からのもの。食器を包んでいて、かつて一緒に住んでいた人の名前が浮かんだ。物は単なる物ではなく、時間の重さを抱えている。
二つ目の箱を前に、私は動けずにいた。何を詰めるか決まらないのではなく、詰める時点で何かを失うような気がするのだ。新しい部屋で新しい生活を始めるはずなのに、それは同時に、今ここにある何かを置き去りにすることだという感覚が拭えない。
クローゼットの奥から、着ていない服を一枚取り出した。デザインは好きだが、もう身体に合わない。手放すべき物であることは明らかだ。それでも箱に入れる手が止まる。この服を手放すことは、かつての自分を手放すことに感じられた。
部屋の隅に、まだ何も詰めていない物たちが積まれている。それを見ると、引っ越しまでの時間がまだあることに少し安心する。今夜は、この箱も埋まらないかもしれない。それでもいい。明日また、向き合えばいい。ガムテープで箱を塞ぐ判断は、焦らなくてもいいのだ。
続きはまもなく
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