第4話
第4話 深淵からの周期
アラームの音は、佐藤が予測した時刻とぴたりと一致していた。
彼の手は反射的にキーボードに走った。画面に新たなデータが流れ込む。それは前のものと同じ構造を持ちながら、より明瞭な信号だった。ノイズの層は薄く、意図した送信者の輪郭がくっきりと浮かび上がっていた。
「やはり、法則がある」
佐藤は呟いた。データの時間間隔、周波数の複合方式、隠された数値群。すべてが一つの目的に向けて組み立てられているように思えた。
しかし同時に、疑問が頭をもたげた。火星探査機のシステムにこれほどの余力があったか。送信機の出力で、こんなに精緻なパターンを作り続けることが可能か。
彼は低周波のパターンを再度拡大した。数値が明確になった。それは距離ではない。時間だ。それも、過去の時間。
四十六時間前。三十時間前。十七分前。そしていま。
それらすべてが、この信号の中に記録されていた。あたかも、誰かが足跡を示すように。
管制室の時計は22時27分。交代の時間まで、残り53分。
佐藤は迷った。報告すべきか、もう一度だけ自分で解析を続けるか。その選択の間に、次のアラームが鳴るまでの時間が、まるで呼吸のように繰り返されていた。
画面の中で、信号は待っていた。
続きはまもなく
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