第7話
第7話 忘れていたもの
心の奥底から浮かび上がる、忘れていたものの正体を、主人公は認めたくなかった。
手帳のページには、確かにそう書いてあった。大学時代の友人との約束。「今度会おう」という言葉と、その横に記された日付。主人公は、その後何度も先延ばしにしていた。返信を忘れ、連絡を後回しにし、気がつけば1ヶ月が経っていた。
スマートフォンを手に取り、メッセージアプリを開く。友人からの最後のメッセージは、確かに1ヶ月前のものだった。その直後から、毎晩3時に目覚めるようになっていた。
医学的な説明はすべて外れていた。睡眠アプリのデータも、入眠時間も、ストレスホルモンも関係なかったのだ。理由は、もっとシンプルで、もっと厄介な場所にあった。
主人公は、ベッドから起き上がった。まだ夜中だ。だが、もう眠気は消えていた。代わりに、行動したいという衝動が満ちていた。
スマートフォンの画面を照らし、友人の名前を見つめる。返信は1ヶ月も待たせてしまった。今、この瞬間に送ることに、何か意味があるのだろうか。それとも、ただの自己満足なのだろうか。
キーボードを開いた主人公の指は、一度、二度、迷った。何を書けばいいのか、言葉が見つからない。謝罪か、言い訳か、それとも何もないまま約束を取り付けるのか。
3時という時間は、もはや睡眠の問題ではなく、心が発していた信号だったのだ。忘れてはいけないことを、毎晩、同じ時刻に思い出させようとしていたのだ。
朝が来るまで、主人公は何度も手帳を見つめた。そして、明日、何をすべきか、ようやく考え始めた。
続きはまもなく
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