月給の使い道

7/7

第7話

ルール作りの意味

帰りの電車の中で、私は先輩の言葉を反芻していた。

「ルール作り」—それは、投資信託を始めたときには考えもしなかった視点だった。毎月五万円を入金する。月に一度だけ確認する。単純なルールだが、それを決めるまでに、私は自分の心の動きと正面から向き合っていたのだ。

給料が振り込まれるたびに、何となく銀行口座に貯めるだけだった日々。その単調さから抜け出したくて、投資信託という選択肢に飛びついた。でも、毎日基準価額を確認する日々は、別の形の不安に満ちていた。上下する数字に心が揺さぶられ、それが自分の人生にまで影響を与えようとしていた。

そこで「月に一回」というルールを引いた瞬間、何かが変わった。頻繁に確認する必然性がなくなると、不思議と焦燥感も減った。基準価額は変わり続けるけれど、その変動を眺める自分までが変わる必要はないということに気づいた。

先輩の言葉が再び浮かぶ。「給料の使い方全体に繋がる」。

月給をどう分配するか。貯金、投資、娯楽、生活費。どれに比重を置くかで、人生の形が少しずつ変わっていく。そして大切なのは、その配分を『決める』という行為そのものなのではないか。

スマートフォンを握る手の力が、少し抜けた。明日、家に帰ったら、給料の使い道について、もう一度ゼロから考え直してみようと思った。今度は、他人のルールではなく、自分のペースで。

続きはまもなく

目次

コメント