副業エンジニアの試行錯誤

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第7話

月額五百円の向こう側

月額五百円のプランを提示してから、三日が経っていた。返信はまだ来ていない。

本業の傍ら、自分は何度もメールボックスを開いた。既読の相手のメッセージを読み返す。「月間五人程度」という数字が、妙に頭に残っていた。五人のために、月額五百円。年間では六千円だ。その企業にとって、それがどれほどの金額なのか、自分には見えていない。

金曜日の夜、返信が届いた。

「プランをありがとうございます。社内で検討した結果、導入させていただくことになりました。来月からの契約をお願いしたいです。"

それだけだった。

スクリーンショットを撮り、何度も見直した。自分の作ったツールが、どこか遠い企業の業務の一部になるのだ。月額五百円で。

翌週、初めての入金通知が来た。五百円。銀行口座の残高が、数字のうえで変わった。それは同時に、最初の責任でもあった。相手は、五人分の業務報告書作成の効率化を、自分に委ねたのだ。

月曜朝、本業の会議で集中できなかった。データベースの最適化について説明を受けているはずなのに、相手の企業のプレスリリースで見かけた代表者の言葉が頭をよぎった。「現場の声を無視した開発」。

自分は、その五人の声を聞いているだろうか。

昼休み、ツールのログを確認した。相手の企業からのアクセス記録が見える。火曜日、水曜日、木曜日。毎日使われている。エラーログはない。良好に稼働している。

しかし、それで十分なのか。相手は、さらに何が必要なのか。何に困っているのか。自分は、まだ何も聞いていない。

帰路、駅のベンチで改めてメールを書いた。「ご導入ありがとうございます。使用状況や、改善してほしい点などがあれば、ご教示いただきたいです。」

送信ボタンを押す前に、一呼吸置いた。月額五百円。その向こうにいるのは、自分と同じ、何かを作り、それを世に出そうとしている人たちなのだ。

続きはまもなく

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