第4話
選択肢の重さ
「このツール、法人利用してもいいですか?」
メールの一文で、思考が一気に加速した。
法人利用。つまり、ビジネスの現場で使われるということだ。個人の趣味の延長線上にあるはずの開発が、突然、誰かの仕事を支えるツールになったのだ。
同期との会話が脳裏によみがえる。ユーザー集めが先か、収益化が先か。だが、その議論は前提を見落としていたかもしれない。利用者の「用途」によって、判断基準そのものが変わるのではないか。
法人利用を許可すれば、有料化の正当性が生まれる。企業が使うツールに、対価を求めることは自然だ。だが、ここで有料化を打ち出せば、既存の個人ユーザーはどう感じるだろう。「続けてほしい」という声の意味が、また重くのしかかった。
スマートフォンを手に取り、ユーザーの問い合わせ画面を眺める。返信のカーソルが、画面上で点滅している。
今、この返信で、自分は何を選ぶのか。そもそも、その「選択」に、どれほどの根拠が必要なのか。
キーボードに指を置きながら、考えていた。
続きはまもなく
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