資産の庭を耕す

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第3話

第3話 最初の一歩

品の名前だ。

窓口の女性は、僕の選択を淡々と処理していった。手続きの書類に署名をしながら、自分がいま何をしているのか、まだ実感がなかった。ただ、父の言葉を思い出す。完璧な選択肢は存在しない。今の君が納得できるか。

「こちらで毎月三万円の自動引き落としで始めさせていただきます。初回は来月からです」

女性が通帳を返してくれた。それはいつもの銀行通帳と変わらない。でも、その中身が少しずつ、ほんの少しずつ、別のものへと姿を変えていくのだ。

銀行を出ると、山田に連絡した。すぐに返信が来た。

「やった。おめでとう。これからが本番だぜ」

本番とは何か。毎月、機械的に引き落とされるその三万円。三十年続けば千八百万円。グラフが示した右肩上がりの数字たち。それらが本当になるのか、ゼロになるのか、それともまったく違う結果になるのか。

帰り道、僕は思った。ルールを学んで、試してみて、失敗から学ぶ。ゲームと同じだと思ったあの瞬間は、まだ始まりに過ぎなかったのかもしれない。

本当のゲームはここから。毎月、通帳に記録されていく小さな積み重ねの中で、何かが育っていくのを感じることができるのだろうか。それとも、何も感じないまま、時間だけが過ぎていくのだろうか。

スマートフォンの画面を開き、再びシミュレーション画面を見つめた。グレーの帯が、いま自分の人生を包み込んでいる。その中で、自分はどこにいるのだろう。

続きはまもなく

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