5分の積み重ね

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第7話

第7話 光と影のあいだで

白湯を飲みながら、今朝の遅れを考えた。破られたルーティン。その破れは、最初は失敗に見えた。けれど母の言葉と、いつもと違う角度から差し込む朝日を見ていると、別の可能性が浮かび上がってくる。

五週間、同じ時刻に目覚めることで手に入れたものは、確かに存在する。体が時刻を記憶し、心が落ち着きを覚える。その変化は小さくない。だが、その代わりに失われたものもあるのではないか。

キッチンのテーブルに、いつもは置かない本が開かれていた。母が読んでいるのだろう。その本を見るのは、朝のルーティンの中では珍しい光景だ。いつもの朝は、決められた時間に決められた動作をこなすので精一杯で、母がそこにいることすら、背景の一部になっていた。

「朝寝坊も、たまには良いものね」と母は言った。責めるでも、褒めるでもなく、ただそう呟いた。

その言葉は、何かを問い直させた。習慣とは、人生を整える道具なのか。それとも、人生を限定する枠なのか。もしくは、その両方なのか。

窓の外、隣家の前を通る人の姿が見えた。いつもより遅い時間だから、別の人かもしれない。五週間、毎朝数えていた人々と、違う人生を歩んでいるその人を、今朝初めて意識した。

白湯の湯気が立ち上る。その湯気は、いつもと同じようでいて、今朝はより白く、より複雑に見えた。

明日の朝は、どうしようか。その問いが、初めて選択肢を伴って浮かんだ。

続きはまもなく

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