5分の積み重ね

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第2話 三日目の朝

目覚ましが鳴る前に、目が覚めた。

三日目のことだった。最初の二日は、早起きに成功した実感が心地よかった。スマートフォンを触らない朝の時間は、想像していた以上に静寂に満ちていた。けれど、三日目は違った。

布団の中で、昨日と同じ時間に目覚めたことに気づく。体が、もう習慣を覚え始めているのか。そんなことがあるだろうかと、半信半疑のまま起き上がった。

窓を開けると、隣家の猫がいない。その代わり、電線に朝日を受けた雀が止まっている。毎日同じ場所にいるわけではないのだ。そのことがなぜか嬉しかった。同じ時間に起きているのに、毎朝は違う。

キッチンで白湯を作りながら、昨日との違いを考える。昨日の朝も、今朝も。でも見えるものは変わっている。変わっているのは、朝そのものか、それとも自分の目か。

カップを握ると、その温かさが五分前とは違って感じられた。昨日は白湯を飲むことに意識があった。でも今朝は、ただ持っていることが心地よい。そういう小さな変化が、積み重なっていくものなのだろうか。

窓際に立ったまま、朝の光が部屋に入ってくる様子を眺める。時間が流れる音がする。それは時計の音ではなく、自分の呼吸と、世界が静かに動いていく音のような気がした。

まだ四日目は来ていない。けれど、この小さなルールを続けることが、何をもたらすのか。その答えは、まだ見えていなかった。ただ、知りたいという気持ちだけが、明日の朝も目覚ましより前に目を覚ましさせるのだろう。

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