第5話
第5話 ルーチンの正体
整えられている。
翌朝、五時ちょうどのアラームが鳴る。今度は、コップの水を飲むことが、自然な流れになっていた。その後、洗面所で顔を洗い、リビングに下りた。
カーテンを開けた。まだ、外は薄暗い。空が、少しずつ色を変えていく時間帯だ。
昨日までなら、ソファに座ってスマホを握っていただろう。だが今朝は違った。キッチンに立ち、お湯を沸かした。白湯ではなく、今日はお茶にしてみた。なぜそう思ったのか、自分でもわからない。ただ、そのときの気分がそう望んでいた。
テーブルに座り、窓の外を眺めながら、お茶を啜る。この時間に、何をするか。最初は、そこが悩みどころだった。読書?運動?瞑想?SNSの投稿では、皆が何かしらの「活動」をしていた。
だが田中の言葉が、頭に残っていた。朝活とは、何かをやることではなく、朝の自分と向き合うこと。
なら、今この瞬間も、それなのではないか。何もせず、ただ朝を感じることも。
しばらくして、スマホが鳴った。田中からのメッセージだ。「今朝は起きられた?」
返信しようとして、ふと気づいた。これまで毎晩、翌朝のアラーム設定ばかり気にしていた。起床できるかどうかを。
だが本当に大切なのは、起床した後だったのかもしれない。起床してから、何時間をどう過ごすか。その質が、一日全体の色を左右する。
返信に「起きられました。朝のお茶がおいしい」と打った。
会社へ向かう前に、もう一度スマホを開いた。朝活のタグを検索する。相変わらず、完璧な朝の風景が並んでいる。だが今の自分には、それらが別の景色に見えていた。
完璧さの背後にある、その人自身の試行錯誤が。失敗から学んだことが。小さな決断と工夫が。
自分も、今、そこにいるのだと感じた。
ただし、まだ五日目だ。この小さな変化が、本当に続くかどうか。まだ、わからない。
続きはまもなく
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