第4話
ベッドの横に
ベッドの横に、コップを置くことにした。
朝、目が覚めたら、すぐに手の届く場所に水を用意しておく。昨晩、そう決めて寝た。
翌朝、アラームが鳴った。いつものように、止めたくなる気持ちと、布団から出たくない気持ちが、ほぼ同時に押し寄せてきた。だが今日は違う。ベッドの縁に座り、手を伸ばせば、そこにコップがあった。
水を飲んだ。冷たさが、少しだけ目を覚ましてくれた。
その後、何をしたか。実は、特に何もしていない。ただ、ベッドから出た。トイレに行った。洗面台で顔を洗った。昨日のコーヒーではなく、今日は白湯を一杯。それだけのことだ。
でも、昨日よりも、何か違う気がした。
会社の昼休み、田中に会った。朝、ベッドの横に水を置いたことを話すと、田中は「いいね。そういう工夫だよ」と言った。
「完璧を目指さないんですか」と聞いた。
「完璧?」田中は首を傾げた。「むしろ逆。朝活って、何かをやることじゃなくて、朝の自分と向き合うことなんだと思う。その過程で、何が必要か、何が邪魔か、それが少しずつ見えてくるんじゃないかな」
帰宅後、スマホの朝活投稿を、また見てしまった。でも今度は、完璧さを探すのではなく、その人たちの小さな工夫を探すように眺めていた。朝日の前に、何をしたのか。朝食の前に、何があったのか。
そして気づいた。みんな、何かしらの工夫をしている。ルーチンを作っている。失敗しながら、調整している。
夜中の一時、ふと思った。明日の朝は、どんな工夫をしようか。
それは、悪くない問いに思えた。
続きはまもなく
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