第3話
三週間目の朝に
十二月の第一週。朝六時、目覚まし時計が鳴る前に目を覚ます習慣はもう定着していた。寝室の薄暗がりの中で、主人公は布団の中で軽く体を伸ばす。以前なら、この季節の朝は体が重く、布団から出るのに気合いが必要だった。今は違う。
リビングに降りると、いつもの位置でストレッチを始める。三週間目だ。体はすっかり動きに慣れ、一連の動作はもはや思考を必要としない。膝を胸に引き寄せ、腰を回し、両腕を上に伸ばす。呼吸も自然に深くなっている。
ストレッチを終えた後、主人公は鏡の前に立った。同期の田中に指摘されてから、自分の顔を意識するようになっていた。いつもより目がはっきりしている。肌の色も、少し明るく見える。
会社では、その日も変化を感じた。朝礼での話を聞く集中力が続いている。昨日の疲れが、きちんと回復している。メールへの返信も早くなった。以前なら午後三時には気力が尽きていたが、今は五時になっても頭がクリアなままだ。
田中が再び近づいてきた。「最近、何か変わった。元気が出てる」。主人公は微笑んだ。「朝、ちょっと運動を始めたんだ」と答えた。田中は「いいな。俺も何かやってみようかな」と呟いた。
その言葉が、主人公の心に引っかかった。自分の変化が、誰かの目に映っている。十分間のストレッチという、小さな習慣。それが周囲にも影響を与えているのかもしれない。
ただし、新しい疑問も浮かんでいた。このまま続けていけば、さらに何が変わるのか。体が軽くなること以上に、何か別の変化があるのではないか。主人公は、その答えを急いで求めようとはしなかった。ただ、明朝のストレッチを楽しみにしながら、夜の仕事に戻った。
続きはまもなく
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