第2話
第2話 選択の重さ
日曜日の朝、佐藤は昨日のゴミ袋を前に立ち尽くしていた。五袋。これだけ減らしても、部屋の印象はさほど変わっていない。むしろ、残された物たちがより一層目に付くようになった気がする。
スマートフォンを手に取り、前夜に撮った「断捨離ビフォー」の写真を見返す。SNSに投稿している人たちの写真と比べて、自分の部屋はなんて汚ないんだろう。そんな感覚に襲われた。もっと捨てなければ。もっと徹底しなければ。
朝食を食べながら、昨日手に取った本のことを思い出す。途中で読むのを止めていた理由は何だったのか。その本には、理想的な暮らし方が書かれていたのだろう。でも自分には、その理想がぴんと来なかった。だから放置していたのだ。
なら、昨日捨てるべきではなかったかもしれない。
外出する前に、クローゼットの前で再び立ち止まる。あのセーター。昨日は結局、判断が付かず、別の場所に移動させただけだった。今朝改めて見ると、色は悪くない。良質な素材だ。でも、似た色の服が他に五枚ある。
必要か、不要か。その二者択一だと思っていた。しかし本当は、その間に無数の段階があるのではないか。"今は必要ではないが、いつか必要になるかもしれない"という不確実性の中で、人は物を手放せずにいるのではないか。
セーターをハンガーにかけたまま、佐藤は出かけることにした。答えを急ぐ必要はない。その判断の過程こそが、自分にとって何が大切かを教えてくれるのかもしれない。
ただし、その過程は想像以上に、時間がかかるものらしかった。
続きはまもなく
目次