第2話
第2話 「始まりの一歩」
翌日の朝、目覚まし前に目が覚めた。昨晩のことが頭に残っていた。完璧を待つなら始まらない。その言葉が妙に心に刺さっていた。
通勤電車の中でも、つみたてNISAのページを開き直していた。投資信託の一覧に目を通す。アルファベットと数字ばかりで、最初はチンプンカンプンだったが、読んでいくうちに少しずつ輪郭が見えてくる気がした。
会社に着くと、さっそく佐藤に話しかけた。「実は昨日から色々調べてるんですけど」と切り出すと、佐藤は嬉しそうに身を乗り出してきた。
「良かった。俺も最初は不安だったよ。でもな、一番大事なのは『始めること』じゃなくて『続けること』だって気づいたんだ。だから毎月同じ金額を自動で積み立てる設定にしてる」
その言葉は妙に響いた。完璧な商品選びより、習慣化させること。損することもあるけど、長期で考えたら?
昼休み、スマホを握りしめながら、証券口座を開くボタンの前で止まっていた。いや、もう止めるのはやめよう。わからないままじゃいけない。わかるまで待つんじゃなくて、わかりながら進もう。
ボタンを押した。
手続き画面が次々と現れる。本人確認、銀行口座の連携、リスク診断。一つ一つは単純だった。そして最後に、投資信託を選ぶ画面。
バランス型、債券型、国内株式型。迷った。でも佐藤が勧めてくれたバランス型を選んだ。月々1万円から始める。小さいかもしれないけど、これが自分の一歩だ。
確定ボタンに指がかかった。心臓の音が大きく聞こえた。
そして押した。
画面に「申し込みが受け付けられました」と表示される。
何か大きなことをやった気がした。同時に、これからが本当のスタートなんだと感じた。口座の中の数字が、いつかどう変わるのか。わからない。でも、それでいいのかもしれない。
続きはまもなく
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