周波数を探す人たち

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第8話

周波数を探す人たち 第8話 その声のままで

孫娘の言葉は、僕の胸にゆっくり沈み込んだ。

「同じ人たちだって分かりますか」——それは、プロの完璧さを否定することではなかった。むしろ、その完璧さの中に、何かが失われているのかもしれないということだ。

「つまり、個性ってことか」と僕がつぶやくと、孫娘は首を横に振った。

「個性も、かもしれません。でも、もっと大事なのは……この音声を聞いた人が、祖父さんとわたしのことを『知り始める』ってことだと思うんです。完璧なpodcastは、何度聞いても教えてくれるだけかもしれない。でも、わたしたちのは、まだぎこちなくて、失敗もあって、だから『この人たち、どんな人なんだろう』って思わせる。」

僕は画面の波形をもう一度眺めた。でこぼこしていて、完璧ではない。しかし、そこには僕たちが、確かに存在していた。

ラジオディレクターだった頃、僕たちが求めていたのは、この『存在の証』だったのかもしれない。完璧な放送ではなく、その瞬間に、ここに誰かがいて、何かを伝えようとしている——その事実が、聞き手の心を動かすんだ。

秋の光が、パソコンの画面をかすかに照らしていた。

「公開してみましょうか」孫娘が言った。

「本当に?」

「はい。完璧でなくてもいい。わたしたちが、ここにいるって、誰かに知ってもらいたい。」

僕は笑った。何十年も探していた「声」は、結局、自分たちのありのままの声だったんだ。

アップロードボタンに、孫娘が指を置いた。「一緒に押しましょう」と彼女が言った。

僕たちの指が、同時に画面を押した。

周波数に乗って、僕たちの声が、世界へ放たれた。

(完)

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