ハイライトの向こう側

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第1話

第一話 ツールの呪い

去年の秋、俺は読書メモのアプリを三つ試した。どれも高評価で、同期からも勧められていた。なのに、どれを使っても記憶に残らなかった。

最初は「タグ付けが足りないのか」と思い、カテゴリを細分化した。次は「AIの要約機能を使うべき」と考えて、アウトライン形式で整理してみた。それでも、後から見返すと「これ何について書いたんだっけ」という状態だった。

同じ頃、職場の年上のエンジニアが紙のノートに手書きしているのを見かけた。見開きにばらばらな図や走り書きが散らばっていて、一見すると雑だった。でも彼に聞いてみると、その人は一年前に読んだ本の内容をかなり正確に覚えていた。

「デジタルは検索性が高い分、頭に入らないんじゃないか」と俺が呟くと、彼は「ツールに頼ると、思考を外注してることに気づかなくなる」と言った。

その一言が引っかかった。効率を求めていたはずが、実は本質を失っていたのかもしれない。読書メモって、単なる情報の保存じゃなくて、思考を自分のものにする過程なんじゃないか。

俺は決めた。まず一冊、何も使わずに読んでみることにした。ペンすら持たずに。

続きはまもなく

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