第7話
小さな疑問から始まる
週末、実家に帰った時のことだ。母が「貯金、どれくらい貯まった?」と聞いてきた。いつもの定型句だと思いながら、今月の残高を伝えると、母の反応が違った。
「投資信託?そんなの、大丈夫なの?」
不安そうな母の顔を見て、自分がどう説明すればいいのか分からなくなった。結局、「田中という先輩に勧められた」という言葉で済ませてしまった。
月曜日の昼休み、その話を田中にしてみた。すると田中は意外な返答をした。
「親に説明できないなら、自分も理解できてない証拠かもね」
その言葉は、ちょっと突き刺さった。
確かに、ここ数週間で投資信託について調べたことは多い。だが、もし友人や家族に「なぜこれを選んだのか」と聞かれたら、自信を持って答えられるだろうか。手数料の仕組みは?リスクは?長期で見たときの見通しは?
帰宅後、再度アプリを開いた。投資信託の価格チャートを眺めながら、自分がまだ『信じて』いるのではなく、ただ『任せて』いるだけなのではないか、という疑問が浮かんだ。
その晩、新しいタブを開いて「投資信託 親に説明」と検索した。出てきた記事を読み進めるうちに、自分が見落としていたことが次々と見えてくる。
難しさは消えていなかった。ただ、その難しさと正面から向き合う準備が、やっと整い始めたのだと感じた。
続きはまもなく
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