第7話
栗のことを話すなら
月曜の朝礼が終わると、案の定、佐藤が隣に座った。
「また何か作ったんですか」
声をかけられたのは、弁当を開けた直後だった。栗が目に入ったのだろう。
「栗を塩ゆでにしてみました」
答え方を迷ったが、結局、素直に話した。前週のかぼちゃの時とは違い、今回は自分の中に確かな経験がある。
「へえ、自分で」
佐藤は栗をじっと見た。その視線が、評価するというより、ただ観察しているように感じられた。
「栗ってどうやって調べるんですか」
「動画で、ですね。検索すると、いっぱい出てくるんです」
本当は、そこからの話をしたかった。栗を選んだこと、沸騰する湯を眺めたこと、完成した時の香りのこと。弁当箱に詰める時に、次は何を足そうかと考えたこと。
しかし、それらは言葉にするほど大げさなものではないと、自分の中で判断した。
「次は何を作ろうか、それを考える時間が、今は結構好きです」
佐藤は頷いた。返答は短かったが、その表情に、何か理解があるように見えた。
昼食を終えた後、机に戻ると、ふと思った。毎週、同じ栗を食べ続けることはないだろう。冬が来て、季節は変わる。その時、何を選ぶか。
今は、その先のことまで考える余裕が、自分の中に生まれていた。
続きはまもなく
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