月々の重さ

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第6話

三ヶ月の記録

手帳への記録は、思ったより面白かった。

最初の週は真面目に、買った物と時間、その時の気分を書いた。缶コーヒーを買った日は「会議で疲れた」。セール品の入浴剤を手にした日は「実家から電話があった後」。パターンなど見えるはずもないと思っていたが、二週目に入る頃、薄っすらと形が見え始めた。

ストレスを感じた日ほど、小さな買い物が増える。それだけのことだった。

妻も同じことに気づいたらしく、ある夜、二人で手帳を並べて眺めた。僕たちの「謎」の日付を見比べると、重なることが多かった。同じ日に、別々の場所で、別々の物を買っている。

「無意識の連鎖だね」と妻がつぶやいた。

一ヶ月目が終わった時点で、予算内に収まっていた。二ヶ月目も。そして三ヶ月目。ただし、数字が減ったことより、違う感覚が芽生えていた。

レジで缶コーヒーを手に取った時、その日自分は何を感じていたのか、一呼吸置いて考えるようになっていたのだ。時には本当に必要だと気づき、時には「これは不安だ」と自覚してポケットに戻す。

完全には減らないし、完全に理解できたわけでもない。だが、毎月消えていた「謎」の数万円は、もう謎ではなくなっていた。それは、僕たちが何に価値を感じているのかを教えてくれる、小さな地図だったのだ。

四ヶ月目の予算を立てる夜、妻が別の提案をした。「この記録、続けてみない?」

続きはまもなく

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