第1話
第一話 箱の中身
部屋の隅に積み重ねられた段ボール箱。メルカリで集めた古いマザーボード、電源ユニット、メモリスティック。どれも数千円で手に入れたものばかりだ。
「いや、これ本当に動くんですかね」
親友のタロウが疑わしげに眉をひそめた。彼は情報系の学科にいながら、サーバー構築なんて興味ない派だ。一方で俺は、大学の講義だけでは物足りなくなってきていた。クラウドサービスの便利さは分かるけど、裏側がどうなってるのか知りたい。自分で動かしてみたい。
「理論上は動くはずだよ。ネット記事にいっぱい書いてある」
そう言いながら、俺はOSのインストールメディアをDVDドライブに挿した。部屋の電気を消して、モニターの明かりだけが頼りだ。こういう瞬間、妙にテンションが上がる。
起動画面が表示される。黒い背景に白い文字。昔のコンピュータみたいで格好いい。しかし、数分後に画面が止まった。
「あ、これダメなやつだ」
タロウが後ろから身を乗り出した。俺もそう思った。BIOSの設定で何か引っかかってるのか。それとも、このマザーボードがもう限界なのか。
スマートフォンで検索を始めた。技術ブログ、Stack Overflow、Reddit。同じような症状を報告してる人がいる。ああ、ここか。UEFI設定を変更すればいいんだ。
また一から設定をやり直す。手順を踏むたびに、自分がものすごく小さな一歩を踏み出してるんだという感覚。でも、この一歩の先に何があるのか、まだ見えていない。
「長いな」
タロウがつぶやいた。
「こんなもんだよ。技術系の作業は」
実際のところ、俺もこれがどのくらい時間かかるのか知らない。ただ、やめたくない気持ちが強かった。
続きはまもなく
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