第3話
具体の中に見えるもの
具体的な場面を思い出していくと、売上数字とは別の層が浮かび上がってきた。
顧客からのクレーム対応で関係を修復した経験。その時、自分は何をしたか。製品の不具合を認め、謝罪し、解決策を提示するだけではなかった。相手の怒りの背景にある事情を丁寧に聞き取り、その先にある相手のビジネス上の課題まで一緒に考えていた。結果、その顧客との取引は深化し、関連部門への紹介にもつながった。
それはスキルというより、アプローチの癖のようなものだ。問題を眼前の事象だけで捉えず、背景を掘り下げる。相手の立場に立って状況を整理する。その過程で信頼が生まれ、次のステップが生まれる。
シートに書き始めた。「顧客の潜在的なニーズを引き出し、それに応じたソリューションを提案できる」。違う。もっとシンプルに。「問題の根本を相手と一緒に探る姿勢」。
その瞬間、部門再編の話が別の色で見え始めた。新しい配置先では、営業成績という実績は一度リセットされるかもしれない。だが、この「姿勢」は失われない。むしろ、環境が変わるからこそ、その価値が試される局面が来るのではないか。
翌朝、人事部から第二次面談の通知が届いていた。
続きはまもなく
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