第2話
軌道上の声 第2話 三ヶ月前の痕跡
既知の探査機のデータベースと照合しても、一致するものはなかった。田中は椅子を後ろに引き、天井を見つめた。三ヶ月間、ずっとここにあったということは—
彼は端末に向き直り、信号の発信源を推定するツールを立ち上げた。到達時間差分析、信号強度の逆算。手順は確実だ。次々とパラメータを入力していく。
画面に軌道計算の結果が表示される。推定距離は太陽系外縁探査機よりもさらに遠い。数百億キロメートルを超える。木星軌道すら含める軌道を計算すると、その信号源は—
「ありえない」
ぼやきが漏れた。座標を二度、三度と確認する。計算ロジックも問題ない。なのに、その位置は既知のどの衛星軌道とも一致しない。むしろ、太陽系そのものの外を示していた。
田中の指は決定キーの上で止まった。上司に報告する前に、もう一つ確認したいことがあった。信号の周期を詳しく見ると、単純なパルスではなく、その中に微細な変調が隠れている。ノイズに埋もれていただけで、パターンがある。意味がある可能性がある。
フォーマットを変えて再生してみる。音声にすると—普通の電子音だ。だが周期的に繰り返されている。あたかも、何かを呼び続けるように。
夜明け前のモニター室で、田中は一人、その音を聞き続けた。
続きはまもなく
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