第3話
朝の「理由」を探す
タケシの言葉が頭から離れない。
「やめる理由がない」
それだけ、という言い方。シンプルすぎて、逆に深く感じた。
朝日を眺めるだけじゃ続かなかった。ストレッチも3日で飽きた。なぜなら、そこに自分の「理由」がなかったからかもしれない。憧れの選手の真似事をしてるだけで、自分が何のためにやってるのか、分かってなかった。
8日目の朝、5時の目覚まし音で起きた時、別のことを試してみることにした。スマートフォンのメモアプリを開いて、朝の30分で「その日一日でやることリスト」を書く。試験勉強のこと、朝練でコーチに言われたフォームの改善、夜のミーティングで質問すること。細かく書いた。
不思議と、時間が長く感じなかった。
9日目、10日目と続いた。朝のリストを見ながら、その日一日の流れが見えてくるようになった。朝練でのモチベーションも違う。ただ体を動かすのではなく、リストに書いた「フォームの改善」を意識して練習できた。
11日目の朝、コーチが近づいてきた。
「最近、動きが変わったな。何かやってるのか」
聞かれて、素直に答えられなかった。ただ朝起きて、リストを書いてるだけだ。でも、その「だけ」が、自分を変えてるような気がした。
放課後、タケシに会った。朝のリストのことを話すと、彼は笑った。
「いいじゃん。そういう理由なら、続くと思うよ」
でも、まだ11日。本当に続くのか、自分でも分からない。ただ、朝起きる理由ができたのは確かだった。
続きはまもなく
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