型の契約

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第5話

モジュール化という賭け

佐藤は鈴木の描いた図を見つめた。変わる部分と変わらない部分を分離する。シンプルな考え方だが、実装には相当な手間がかかるはずだ。

「その分離って、実際にはどのくらいの工数が必要なんですか」

鈴木はペンを止めた。

「正直、わからん。十年前は見積もりすら出せずに諦めた。だから今、お前たちの世代に託したい。ただ、一つ確かなことがある」

彼はホワイトボードを指で叩いた。

「短期的には、マイナスだ。リファクタリングは新機能を生まない。経営層からは『なぜ時間をかける』と言われる。でも五年後、十年後を見れば、チームの生産性は劇的に変わる。バグは減り、新しい人材も仕事を理解しやすくなる」

佐藤は思った。鈴木が本当に望んでいるのは、自分の代わりにやり遂げることではなく、失敗から学んだ教訓を引き継ぐことなのだ。

「田中さんは、この話を知ってますか」

「知ってる。だから異動させた。お前には、逃げない判断ができる人間だと思った」

その時、オフィスの時計が五時を指した。金融システムの開発チームは、明日から新規機能のスプリントを開始する予定だ。

佐藤の胸に、確かな重さが落ちてきた。

続きはまもなく

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