引き算の日々

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第2話

第2話 音のない朝

月曜の朝、目覚ましがなった。紙製のアナログ時計を買ったのは土曜のこと。スマートフォンを手放してから初めての平日だ。

出勤の支度をしながら、いつもより時間に余裕があることに気づいた。移動中にSNSを確認する時間がないからだ。電車の中で、今まで見えていなかった景色が見える。高齢者、子ども、スーツ姿の人たち。それぞれが何を考えているのか、想像する余白が生まれる。

会社の昼休み。同僚たちはいつも通り画面を見ている。自分だけ、弁当を食べた後に何もすることがない。本を持ってくればよかったと思い、図書館で借りた本を次の日に持ってくることにした。

夜、部屋を片付け始めた。スマートフォンがあれば、退屈を埋めるために何かを探していたはずだ。だが今は、その退屈を見つめる方が気になった。充電ケーブルなど余計な物を段ボール箱に詰めながら、気づく。自分がどれだけ「つながりっぱなし」を前提に生きていたのか。

本棚の積ん読本に再び目を向けた。まだ手を伸ばす気力はない。だがそれもいい。今、読みたくないなら読まなくていい。その判断さえ、スマートフォンがあった頃は曖昧だった。

窓の外では月が明るい。その光を眺めながら、次第に見えてくるものがあるのではないか。そんな期待が、小さく胸を占めた。

続きはまもなく

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