第3話
見えてきた輪郭
後輩を見送ったあと、デスクに戻ってスキルシートを眺め直した。「クライアント対応」「トラブル解決」と書かれた項目は、当初のシートには目立たない位置にあった。自分では当たり前だと思っていたことが、実は他の誰かにとって必要な価値になっていることもあるのだ。
午後の会議で、プロジェクトから外れた自分の存在が急に意識された。空白感ではなく、違う視点だ。新プロジェクトに必要な役割と、自分が持つ強みが合致しなかったということなのかもしれない。そう考えると、それは失敗ではなく、むしろ自分の輪郭が少し見えてきたということではないか。
帰り道、母からのメールをもう一度読んだ。実家に帰ることは、親の期待に応えるだけの選択肢ではないかもしれない。自分が親に何を与えられるか、その視点で考え直してみることもできる。
オフィスを出るとき、上司と廊下で鉢合わせた。目が合わせられなかった自分に気づきながらも、別れ際に上司が口にした一言が耳に残った。「ところで、あの案件、お前のやり方で再度検討してみない?」。その言葉の意味をかみしめながら、自分は駅へ向かった。
スキルシートは完成しない。むしろ、ここからが本当の問い始まりなのだと、その時になって初めて理解した気がした。
続きはまもなく
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