転機の方程式

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第3話

予定表の隙間に

三日という期限は、思ったよりも短かった。

その夜、主人公は研究室に残っていた。装置の修復は進んでいないようで、暗い実験台が窓に映っていた。スカウトメールを読み返しながら、森本との会話が頭をよぎる。「方向感覚」という言葉が、何度も浮かんでは消えた。

翌日の朝、図書館で論文を探していると、隣の席に見知らぬ女性が座った。彼女は定年を迎えたばかりの元研究者だという。本の背表紙を指して、「これ、面白いですね」と話しかけてきたのだ。

その後、二人は三十分以上も会話を続けた。女性は、研究を辞めた理由について淡々と話した。「完璧なタイミングを待っていたら、人生が先に進んでしまった」と。

一方、研究室では後輩の森本が落ち着きを失っていた。スカウト側からの連絡に返答を求めるメールが届いたらしい。期限は明日に縮まっていた。

主人公は、自分の状況とスカウトの期限が、まるで重なっているように感じた。装置の故障、森本の決断、図書館での出会い。全てが同じ時間軸上で進行している。

メールを再び開きながら、主人公は思った。完璧な時間など来ないのなら、今この瞬間の自分の気持ちは、何を指さしているのか。

スカウト返信の下書きを打ち始める指が、わずかに震えていた。

続きはまもなく

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