コードレビューの流儀

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第1話

第一話 なぜ、これまでのやり方は通じないのか

配属初日、俺は自信満々でPRを出した。前職では褒められてたコードだ。それなのに……翌朝、レビューが返ってきた時点で、何かおかしいと気づいた。

コメント数が異常に多い。でも不思議なことに、全然ムカつかない。むしろ、丁寧だ。

「ここ、別の書き方もありますね」「こういう場面ではどうですか?」みたいなトーンで、指摘というより問いかけ的な。前職なら「これはダメです」で終わってたはずなのに。

ただし、その先が違う。各コメントにはコンテキストがある。なぜそういう書き方の方がいいのか、説明がある。スクリーンショット付きで別パターンが示されてることもある。

一番驚いたのは、先輩の名前が「田中」だってことが分かったとき。普段、チャットでは冗談ばっかり言ってる人だった。同じ人が、なぜこんなに丁寧に……?

ランチ時に思い切って聞いてみた。

「あ、コードレビューは別ですよ」って笑われた。「ここは育てる場所だから」と。

その言葉が引っかかった。育てる? レビューって、バグ防止じゃなくて?

「とりあえず、修正してまたあげてください」とだけ言われた。

俺は再度PRを開いた。コメント欄には、既に次のレビュアーのコメントも増えてた。またも丁寧だ。しかも、前のレビュアーのコメントに対する補足も入ってる。議論してる。コード一行をめぐって、三人が議論してる。

おかしい。こんなことに時間かけて、プロダクトの進捗は大丈夫なのか。

でも、書き直しながら、気づき始めてた。そのコメント、全部正しい。というより、自分が気づかなかった視点ばっかりだ。

これ、本当に「レビュー」なんだろうか。

続きはまもなく

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