第6話
情報の距離感
ロードマップの詳細度を段階的に選べる機能、ユーザーが受け取りたい情報量を自分で調整できるような仕組みを作ることは、確かに理に適っていた。
しかし、実装に取り掛かった矢先、新たな問題が浮上した。
「詳細版と簡潔版を分ける」という判断そのものが、すでに一種の情報統制ではないか。何を詳しく、何を隠すのか。その選別の過程で、自分自身の恣意性が入り込んでいないか。
本業の業務時間中、ふと自分は考えていた。大企業のプロダクトマネージャーは、こうした葛藤を毎日処理しているのだろうか。それとも、ある程度割り切って、データに基づいた判断だけをしているのか。
帰宅後、ユーザーからのメッセージをもう一度読み返した。「正直なところ、最初は不安でした」という言葉が引っかかった。不安は悪いことなのか。むしろ、その不安さえ含めて、一人のユーザーの体験なのではないか。
完璧な透明性も、計算された情報提供も、結局のところ自分が「正解だ」と思い込んでいる形に過ぎない。本当に必要なのは、ユーザーが何を求めているかを、実際に聞くことではないか。
翌日、自分は初めてのユーザーアンケートを配信することにした。実装より前に、対話から始めようと決めたのだ。
続きはまもなく
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