オフシーズンの過ごし方

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第1話

第一話 引退後のことなんて考えたくない

シーズンが終わった。十月も半ばだ。球場の照明も消えて、スタジアムは静寂に包まれている。

俺たちは約四ヶ月の長いオフに入った。去年までなら、このタイミングで沖縄や海外に飛ぶ選手も多い。俺だって何度かそうしてきた。でも今年は違う。

「資格取得ですか」とコーチに報告したときの顔が忘れられない。別に変なことじゃないと思うんだけど、プロ野球選手が勉強をするって珍しいのかな。いや、みんなやってんのかもしれない。実際のところよくわかってない。

理由は単純だ。三十五歳になった。いつまで野球ができるかなんて誰にもわからない。怪我一つで終わることだってある。このオフの間に、何か手に職つけときたいなって思ったんだ。

妻に相談したら、意外と応援してくれた。「いいじゃない、何か打ち込むことあるっていいよ」って。子どもたちは「パパ、お勉強?」って笑ってた。確かに、自分の子どもに勉強しろって言ってる親が、今さら机に向かうのは変かもな。

図書館で借りてきた参考書が、今、リビングのテーブルに積み重なっている。正直、文字がちっちゃくて読みづらい。目も疲れやすくなった。こんなんで大丈夫かな、って不安がないわけじゃない。

でも、野球と勉強って似てる部分があると思うんだよ。何度も繰り返して、パターンを覚えて、本番で発揮する。基礎を固めて、応用に進む。そういう部分は一緒じゃないかな。

とりあえず、一冊目を終わらせよう。そこからだ。

続きはまもなく

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