第4話
第4話 習慣の先にある焦燥感
習慣が身についた時、多くの人が同じ罠にはまるのだと気づきました。
毎日スケッチを続けていると、ある朝突然、「今日のは昨日より劣っている」という思いが頭をもたげます。完璧さを手放したはずなのに、比較という別の重荷が忍び込んでいた。自分のペースで続けることが、いつの間にか「人より続けている」という優越感に変わり、やがて「もっと上達すべき」という圧へ変わっていく。その過程は、あまりに自然です。
スケッチ仲間の田中さんは、最近こんなことを言いました。「三ヶ月目が一番危ない」と。習慣が安定して、成果が見え始める時期だからこそ、期待値が跳ね上がる。小さな積み重ねの価値を感じているのに、同時に「これはまだ十分ではないのではないか」という声が、自分の内側から聞こえてくるのです。
私は試しに、ここ一週間、毎日のスケッチの後に一行だけ書き付けることにしました。「今日、何ができたか」ではなく、「今日、どう感じたか」を。完璧性との戦いではなく、その日その日の感覚に向き合うためです。
するとおかしなことに、気づき始めたんです。焦りを感じている日ほど、手が硬くなっている。逆に、ただ描くことそのものを楽しんでいる日の線は、柔らかい。完成度ではなく、その時の心身の状態が、作品に直結していたのです。
「続ける」ことの本質は、習慣をつけることではなく、その中で自分とどう向き合うかなのだと、今やっと腑に落ちました。習慣は単なるきっかけに過ぎず、その先で何を見つめるかが、本当の問題なのです。
四ヶ月目に向けて、私は一つの決意を新たにしています。完璧さを求めない、という誓いの先に、もう一つ加える決意。それは、「焦りも完璧さと同じくらい、手放す価値がある」ということです。
続きはまもなく
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