第7話
14件の謎、8件の空白
心当たりがあるか、という問いに対して、正直に答えることができなかった。
「あ、いえ。いくつかは……」
その曖昧な返答のまま、通話を終えた。銀行員は親切に、疑わしい課金について異議申し立ての手続きを教えてくれたが、頭に入ってこない。
14件。
その数字がずっと引っかかっていた。スマートフォンを手に取り、あらためてアプリ一覧を見た。メモに記した6件は確かに存在している。だが、残り8件はどこにあるのか。
削除されたアプリ。その痕跡を探るため、スマートフォンの設定画面へ向かった。課金履歴、デバイス管理、登録情報。どこにその8件が隠れているのか、手当たり次第に掘り進める。
そこで気づいたのは、自分が思っていた以上に、このスマートフォンというデバイスが複雑な存在だということだ。ダウンロード履歴、クラウド上の記録、複数のアカウント。すべてが絡み合っていた。
その時、ふと思い出した。去年、スマートフォンを機種変更している。古いデバイスから新しいデバイスへ、データが自動で同期されたはずだ。その過程で、アプリの登録情報だけが引き継がれ、アプリ本体は消えてしまったのか。
可能性として、あり得る。
だが、それにしては不自然なことがある。登録の形跡が残っていないアプリというのは、つまり、新しいスマートフォンには最初から入っていなかったということだ。それなのに、なぜ課金だけが続いているのか。
答えを探すために、もう一度、あの銀行員に電話をかけるべきか。それとも、自分でさらに掘り下げるべきか。
メモ帳に書かれた「月3万円」という数字を見つめた。この金額が、何を意味しているのか。そして、残り8件のアプリが、本当に存在しているのか。確認する手段は、まだ残されているはずだ。
続きはまもなく
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